塩谷 剛 さん
勤務先 |
栗田工業株式会社 プラント事業本部 土壌部門 土壌技術部 技術一課 |
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Q. | 現在携わっている仕事の内容について教えてください |
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A. |
私が現在、携わっている仕事は、土壌?地下水汚染問題です。この問題は2003年に「土壌汚染対策法」が施行され、場合によっては事業者等に調査又は措置の命令が出されるようになったことで、様々な関係者が土壌?地下水汚染に関るようになり、近年社会的関心度がますます高まっています。 このような中、私の仕事は技術職として、土壌?地下水汚染に関する調査?浄化の設計→現場管理→データ解析→提案という一連の業務を通してお客様の課題解決を図ることにあります。例えば、後に開発を控えた工場における土壌?地下水汚染問題では、調査や浄化業務をきちんと実施することに加えて、多くの関係者(工場、開発、住民、行政等)の共通理解が得られるようにコンサルティング等を実施して、円滑な土地取引が出来るようにサポートすることが大変重要となります。この場合、多くの関係者はそれぞれの考え等がありますので、共通理解を得るためには、相当な苦労がいることが多いですが、仕事が完遂した時には、その分「自分の仕事が社会に役立った」、という強い充実感を感じることが出来ます。 |
Q. | 大学で学んだことで今の仕事に役立ったのはどのようなことですか |
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A. |
私の場合、学部、修士の両方において、土壌?地下水汚染に関する浄化技術の研究を行っていましたので、そういう意味では直接的に今の仕事に活かされていると言えると思います。しかし、実際に仕事を行う上では、それだけが重要ではないと感じています。大学、大学院では、環境に関する多くのことを学びました。例えば、水理学、水環境化学、測量、土木、緑化等、それらの知識は断片的であるかもしれませんが、今の業種で関連することが出てくることがあります。そんな時に、学生時代に少しでも知識があれば、理解するきっかけになることがあります。そういう意味では、幅広く環境に関することを学ぶことが出来たのは良かったと思います。また、私が仕事をしている中で学生時代に最も重要だな、と感じるのは、研究室に入ってからの研究活動だと思います。研究内容ももちろん重要ですが、何よりも解らないことを理解するまで自分で調べる、あるいは友人、先生に納得いくまで聞く、そしてその結果物事を前に進めていく、この姿勢が大切ではないでしょうか。社会人になれば、わからないことがあれば、本気で教えてくれる人は少なく、自分で調べるしかありません。また極端に言えば、わからないことを本気で調べなくてもやり方さえ、覚えれば仕事が出来るかもしれません。ただし、それでは本人の成長に活かされていかないと思います。今思うとまさに研究活動における物事の本質を理解して、前に進める姿勢が自分の仕事に取り組む姿勢に活かされていると思います。 |
Q. | これまで関わってきた仕事の中で印象に残っていることがあればお聞かせください |
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A. |
私がこれまで最も達成感の得られた仕事は、入社5年目に実施した大規模土壌汚染の調査、浄化工事の設計を実施して、浄化工事を受注できたことです。それには、理由があり、同様の大規模調査を入社2~3年目の間にも担当することがあったのですが、その時にはデータ整理?解析が十分ではなく、結果的に浄化工事を受注できませんでした。そのため、今回5年目に再び大規模な仕事をまかされた時には絶対成し遂げるという信念、前回の反省を活かした解析方法の改良を加えることで、成し遂げることが出来ました。失敗した時には、相当悔しかったのですが、その分、努力をして成功を収めた時には喜びも格段に大きく、入社してからの5年間で最も印象に残っています。 |
Q. | 就職して「大学時代にやっておいたら良かった」と思うことはありますか |
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A. |
これは、理系の場合、多くの業種でもそうかもしれませんが、多くのデータを扱うことが多いため、統計学をもう少し学んでおいた方がよかったと感じています。第三者の理解を得るには、統計学に基づく理論武装が必要になることがあるためです。 もう一つは、私は水の流れについての解析を主に取り組んでいましたが、私のような水処理メーカーでは、化学反応も重要な要素となります。そういう意味で、化学反応を組み合わせた化学工学という観点でもう少し学んでおいたらよかったと感じることもあります。 |
Q. | 現在環境システム学科で学んでいる後輩やこれから環境システム学科を受験しようと思っている受験生に向けてアドバイスをお願いします |
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A. |
ここ数年、地球温暖化をはじめとする環境問題は避けて通ることの出来ない問題として、社会的関心がますます高まっています。これらの問題を解決していくためには、一人一人が意識改革をして実行していくことはもちろんのこと、正確な事象を把握する科学の力が重要になるのは言うまでもないと思います。皆さんの中にも、何とかしてこれらの問題で役に立ちたい、社会に貢献したいと考えている人も多いのではないでしょうか。環境問題は、一口に言っても広大で、活躍する場、方法は人それぞれだと思います。そんな時に、環境システム学科では、環境という広大なフィールドの基本となる考え方、理論等を学ぶことが出来ると思います。ぜひ、環境システム学科で学んだことを基本に、社会で活躍されることを願っています。 |
※2007年7月12日現在の調査に基づいて記載しています。