お薦め本の他に、経済学部教員有志によってお気に入りのコンテンツ(本?CD?映画?ビデオ?ゲームなど)を紹介し、 皆にすすめる書評誌『リトルネロ』が1996年に創刊されました。 現在では執筆者も学生や職員、そして他の学部へと広がり、和大キャンパスの書評誌と呼べるものに成長しています。 先生の意外な一面が見えるかもしれません。 『リトルネロ』は当研究所でも配布していますので、ぜひご覧ください。
中村太和先生
- 専門領域:自然エネルギー戦略、公益事業論
- 研究テーマ:自然エネルギーをベースにした循環型社会への転換
お薦め本
- 『環境問題とは何か』
- 富山和子著書 PHP新書175/2001年/660円
- 『日本の森はなぜ危機なのか』
- 田中淳夫著書 平凡社新書133/2002年/760円
- 『木造革命―木の家づくりから木の街づくりへー』
- 船瀬俊介著書 リヨン社/2004年/1700円
お薦めの理由
環境問題とは、きれいな空気と水、豊かな土壌をどう確保するかという問題であり、 それを突き詰めれば森林保護の問題に行き着きます。ただし、森林保護といっても、 一度伐採すれば回復が困難な原生林や熱帯雨林の場合と人間の手入れを前提にした針葉樹の人工林の場合では保護のあり方はまったく異なります。 前者の場合には出来るだけ元の姿を維持することが必要ですが、後者の場合にはむしろ人間の手を入れながら管理し、 利用可能になれば伐採して再び植林によって 再生産を維持することが必要です。 スギ、ヒノキに代表される日本の人工林の場合、木を伐ってきちんと活用することが森林を守ることに繋がります。 石油化学 製品から木材への素材転換を通して森林を守り、循環型社会への転換をはかるためにどうしたら良いのか、 3冊の本から学んで欲しいと思います。
竹林明先生
- 専門領域:地域経営
- 研究テーマ:日本的経営?人的資源管理
お薦め本
- 『経営学研究のために』
- 神戸大学経済経営学会/2002年4月10日発行
お薦めの理由
本書は経営学の研究内容と動向を簡明に解説している。学生諸君の勉強のガイドブックとして、 また、経営学の基本的領域を網羅しているので、初学者にも、是非、一読していただきたい。
吉村典久先生
- 専門領域:経営管理
- 研究テーマ:日本企業の経営システムと経営戦略の関係
お薦め本
- 『オンリーワン企業への挑戦』
- 西本貫一著書 到知出版社/1995年8月発行
お薦めの理由
学校の目の前にある大きな会社。ノーリツ鋼機。学生のみなさんはご存じでしょうか。 カメラで撮影した写真。写真店やスーパーの現像コーナーに持ちこめば、 1時間足らずで現像されてくるかと思います。この現像を行う機械の製造?販売をしているのが、ノーリツ鋼機です。 この分野で同社は、いまや世界のトップ メーカーです。世界19カ国に拠点をもっています。 著者の西本氏は同社の創業者です。2005年にお亡くなりになるまで、現役の社長として経営の舵取りをされていました。 経営学の「生きた」教科書。一読をお奨めします。
金澤孝彰先生
- 専門領域:各国?地域経済論?国民経済計算
- 研究テーマ:中国の地域経済と制度変遷
お薦め本
- 1. 『Spatial Structure and Regional Development in China』
- OKAMOTO IHARA著書 IDE-JETRO/2004年4月発行
- 2. 『21世紀システムと日本企業』
- 大阪市立大学商学部?経済学部編 /日本経済新聞社/2000年5月18日発行
- 3. 『経済学研究のために』
- 神戸大学経済経営学会/2002年4月10日発行
1.のお薦めの理由
推薦者(金澤)もプロジェクトに参加して2003年に完成した中国地域間産業連関モデルを用いて、 隣国?中国の地域間不均衝の問題を定量的かつ空間的側面から解明した日中共同研究成果である。 地域経済に関する定量分析の一手法として参考になると思う。
2.のお薦めの理由
推薦者の母校である大阪市立大学商学部?経済学部の創立50周年を記念して開催された、 学術シンポジウム「21世紀システムと日本企業」の記録である。 世界を代表する論者たちがEU、アジア、環境、企業の4つのテーマをもとに21世紀システムの理論と展望について熱気あふれる議論を展開している。 本書を機会に日本経済?日本企業の将来について考えてみていただきたい。
3.のお薦めの理由
本書は経済学(会計学も含む)の研究内容と動向を簡明に解説している。講義概要として位置づけてもよい。 また、経済学を網羅しているので、学習用としても、本学の講義に十分対応しうる。是非、一読していただきたい。
厨子直之先生
- 専門領域:人的資源管理
- 研究テーマ:ポスト成果主義の探求
お薦め本
- 『搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!』
- 阿部 真大 著書 集英社新書/2006年10月発行
お薦めの理由
“好きなことを仕事にする”こと。このことは,ヒトがハッピーに働くうえで重要な条件のひとつであることは間違いありません。 ところが,本書の著者はこのような常識に対して,真っ向から疑問を投げかけます。本書はバイク便ライダーとして働く若者が,「好き」という気持ちのあまり仕事にのめり込み,最後は肉体的にも精神的にも燃え尽きてしまうことを,バイク便ライダーのアルバイト経験に基づいて書かれています。とくに興味深いことは,このようなメカニズムは,経営者ではなく,労働者(若者)自身が作ってしまっているという事実です。「自分のキャリアは自分でつくる」ということが叫ばれる今日。 皆さんに「豊かな職業人生とは何か」を改めて考える契機に本書を読んでみられることをお勧めします。
李東浩先生
- 専門領域:経営管理?経営戦略
- 研究テーマ:日本的経営システム?中国的経営システム
お薦め本
- 『経営は十年にしてならず』
- 三品和広編著 東洋経済新報社/2005年11月発行
お薦めの理由
この本は、同著者の3つの経済経営系の大賞をもらった『戦略不全の論理』の姉妹続編です。 やや難しい理論とロジックの分析を抜けまして、本書は面白い経営の事例を分析した上で、 日本企業の経営戦略をより実務的な側面で提示しています。経営の入門学生のみならず、 現実の企業経営像をいっそう深く理解?把握したい大学院生や企業OBの方にも推薦します。