プロジェクトタイトル
吉田初三郎が描いた鳥瞰図による「古くて新しい観光」への誘い
研究ユニット
代表者
メンバー
プロジェクト期間
2023年4月27日 ~ 2024年3月31日
プロジェクト概要
大正時代から昭和初期にかけての観光ブームに吉田初三郎式鳥瞰図を用いた観光案内(印刷折本)が人気を博した。本研究は、初三郎式鳥瞰図そのものの研究、及びそれを地域観光に誘う手段として活用するパンフレットの作成までを含んだ実践的研究である。 初三郎は全国各地を巡るなか、和歌山にも足を運び、和歌浦、白浜、高野山、熊野などを鳥瞰図に描いている。本研究では、和歌山県をモデルケースとして、第一段階として、独特のデフォルメと豊かな色彩で描かれた和歌山の観光名所の鳥瞰図から和歌浦及び高野山を分析する。第二段階は、それを資料として実地検分を行い、現在の当該地の状況と比較する。第三段階は、実地調査に基づき、初三郎式鳥瞰図を取り入れた観光パンフレットを作成し、当時の和歌山観光名所案内を現在の名所と比較しながらめぐるスローでレトロな旅へと人々を誘う。
成果報告
2023年度、吉田初三郎の鳥瞰図の研究をベースとして、現在の若者の嗜好に合致するような『昭和レトロな和歌山案内―和歌山市?和歌浦編―』を編集し、かつての名所と比較しながら現在の観光地を巡るスローでレトロな旅へ誘うことを目的とした観光パンフレット(日本語版)を発行することができた。
現在、和歌山県立美術館や南海和歌山市駅に直結した和歌山市民図書館ビルの入り口で配布されるなどして一定の好評を得ている。個々に配布した場合には、大学生達からは、昭和レトロなイメージが「かわいい」との感想が多く、和歌山県在住のシニア層の場合は、鳥瞰図を見ながら、過去に自身が訪れた場所について話が弾み、現在は消失してしまったものについての記憶が呼び起こされる様子がみられた。また、外国人研究者からは、鳥瞰図への関心が示され、英語版を制作すべきだと助言があった。
以上のことから、観光教育やスローツーリズムへの導入手段として利用できる可能姓が伺え、今後、実際の利用方法の提案をしていく必要がある。