終了【5/18(水)】第82回わだい浪切サロン「非正規雇用と労働法」
公開日 2016年04月21日
日時 : 2016年5月18日(水) 午後7時~8時半
話題提供 : 植村 新 (和歌山大学経済学部専任講師)
場所 : 岸和田市立浪切ホール 1階 多目的ホール
昨今の労働法政策において、非正社員として働く労働者の待遇改善が中心的な課題とな
っています。これに関連して、2007年にパートタイム労働法が改正されたのを皮切りに、
2012年には労働契約法と労働者派遣法の改正が、2014年には再びパートタイム労働法の改
正が行われました。2015年に成立した、いわゆる同一労働同一賃金法は、国に対して、労
働者の職務に応じた待遇確保のために必要となる施策の推進を求めています。
このように矢継ぎ早な法改正が行われるなかで、非正社員をめぐる法状況は錯綜してい
ます。今回は、上記のような法政策がそもそも何を問題としてきたのか、そのような問題
はなぜ生じてきたのか、それに対していかなる解決が図られているのかを、できるだけ分
かりやすくお話ししたいと思います。
※事前申し込み不要、参加無料
開催レポート??
参加者40名
(概要)
日本の非正規雇用問題は、1990年代以降に増加?注目されてきました。今では私たちにとって、大変身近で切実な問題となっています。
この日は、非正規雇用の概要、非正規雇用問題の鍵となる「日本型雇用システム」の理解、そして非正規雇用問題の解決策について、統計や判例等の資料を参考に学びました。
非正規雇用とは、正規雇用の要素(期間の定めなし?フルタイム?直接雇用)を一部でも欠く就労形態を指します。非正規雇用の割合は、1990年には20.2%でしたが、2014年には37.4%に達しており、なかでもフルタイム就労型の非正規雇用が増加しています。
このような非正規雇用増加の主たる要因は、一つには、国際競争の激化を背景にした経営の合理化にあるとされています。
非正規雇用の問題点は、労働者個人のレベルでは、雇用の不安定、処遇の低さ、能力開発機会の欠如、労働組合からの排除等が挙げられますが、年々(家計補助型ではない)生計維持型?不本意就労型の非正規雇用が増加しており、これらは日本社会全体から見た場合、現在の非婚化?少子化の急速な加速の原因となっているのです。
従来の正規雇用は、長期雇用制度?年功賃金制度?企業別組合という3つの要素から構成される「日本型雇用システム」の適用を受ける、「メンバーシップ型」の雇用形態です。
非正規雇用問題に対しては、二極化した正規雇用と非正規雇用の中間形態としての「ジョブ型正社員」(職務?勤務地?労働時間が限定されつつ、期間の定めのない労働契約)が提示され、また、非正規雇用の不公正な処遇解消のための法規制が進められているところです。
ジョブ型正社員の定着をはじめ、非正規雇用問題の解決には多くの課題がありますが、本来的には労働者個々人が、正規雇用?ジョブ型正社員?非正規雇用を必要に応じて選択できるしくみや制度が整うことが好ましいと言えるでしょう。
―アンケートより―
?非正規雇用の現状を知るよい機会だったので、参加してよかった。将来思う方向へ行ければいいなと感じています。自分も非正規雇用の身なので。(30代男性)
?ジョブ型正社員の話を初めて聞きました。非正規雇用を少なくする1つの方策ではあると思います。いろいろ疑問はありますね。(60代女性)
?ジョブ型正社員への移行のメリット?デメリットについて理解できました。労働者が選択するためには、企業や国のバックアップがますます必要だと思います。(60代女性)
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